コロナ禍でのUber Eats

サステナビリティのためのデザイン
Challenge
ビジネスとユーザーの目標を考慮しながら、コロナ禍での使い捨てプラスチックごみへの取り組みのためのUber Eatsの新機能を追加。
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Solution
Uber Eats Ecoチャレンジ: Rewards System
Tools
Figma, Adobe Illustrator
Team
Self-directed
Role
UX Research, Interaction Design, Visual Design, Wireframing, Prototyping
Duration
約30時間
BACKGROUND
Why is this project important?
2019年10月16日から、Uber Eats(ウーバーイーツ)では、「Utensil Opt-In」の機能を追加しました。このキャンペーンでは、「スプーン」や「フォーク」「割り箸」「紙ナプキン」「ストロー」などの使い捨てアイテムの要否をデフォルトでオフになっており、アプリから選択して注文できるようになりました。およそ2年間が経って、Uber eatsは、特にこのパンデミックの時期に、よりサステナブルなデリバリー体験を生み出す方法について計画を考え始めました。
RESEARCH PLAN
How should we begin?
リサーチ目標:
  • 環境問題の現状と、現在の市場動向を理解する 
  • フードデリバリーサービスのデモグラフィックを特定する
  • ユーザーの frustrations/motivations/needs/goalsを理解する
  • Uber Eatsのサステナビリティへの取り組みに関するユーザーの経験を理解する
アサンプション:
  • パンデミックが始まって以来、UberEatsの利用者数は増加している
  • ユーザーの増加に伴い、使い捨てプラスチックゴミも増加している
  • Uber Eatsのターゲット市場年齢は20~40歳
  • ユーザーは、Uber Eatsの使い捨てプラスチックゴミへの取り組みに関して、満足していない
  • ユーザーは使い捨てプラスチックゴミに取り組んでいるフードデリバリーサービスを支援したい
SECONDARY RESEARCH
What did we find out?
プラスチックゴミ問題の現状 (グローバル):
  • 現在、毎年約3億トンのプラスチック廃棄物を生産
  • これまでに生産したプラスチック廃棄物の9%のみがリサイクルされ、 79%が埋め立て地、ゴミ捨て場、または自然環境に蓄積
  • 現在の傾向が続けば、2050年までに海洋のプラスチック廃棄物が魚を上回ると推定
  • 多くの国で政治家がプラスチックの使い捨てによるごみへの対策を講じたが、コロナ禍で影響を受けた
  • コロナ禍で、使い捨てプラスチックの需要が高まり、プラスチックリサイクル業者は廃棄物の量に対処できず、 石油・ガス業界 は新しいプラスチックの生産により力を入れている
プラスチックゴミ問題の現状 (日本):
  • 日本は、アメリカに次ぐ世界第2位のプラスチックゴミの発生源
  • 日本では収集と廃棄物管理に重点を置いているが、生産と消費の削減については対策を講じていない
  • 国際環境NGOグリーンピースの調査の結果によると:
    → 暮らしの中で「不要な使い捨てプラスチック製品や過剰包装のサービスが多いと感じる」と答えた人が、8割以上
    → 「使い捨てプラスチックを使わないための選択肢があれば利用してみたい」人が、7割以上
    → また全体の6割以上が「レジ袋の有料化だけでなく、他の使い捨てプラスチック製品について、使用規制や有料化を進めるべき」と考えている
市場動向(フードデリバリーサービス):
  • 外出自粛や、飲食店の時間短縮営業を受け、デリバリー代行サービスは都心部を中心に拡大している
  • 2020年11月時点で、39.7%がフードデリバリーサービスを利用した経験を有しています。5.0%は、新型コロナウイルス感染拡大後、初めて配達サービスを利用したと述べた
  • 年齢が若ければ若いほど、食品配達サービスを利用した経験が多い。20~30代の利用経験率は、フードデリバリーサービス利用者全体の半分近く
  • 利用シーンで男女ともに第1位となったのは「忙しいとき、料理を作りたくないとき」、2位には「食べたいものがあるとき」、3位には「チラシやクーポン、お得情報を見たとき」
PRIMARY RESEARCH (INTERVIEW)
What do users actually think?
Uber Eatsに関するユーザーの経験と、プラスチックの問題についてのユーザーの考えを理解するため、20代から30代でUberEatsユーザー(週に2回以上注文)を条件として、の5人にインタビューを実施しまた。

質問は大きく2つのカテゴリーに分けて、インタビューを実施しました:
→ Uber Eatsのユーザー体験
→ Uber Eats と使い捨てプラスチック
Interview Summary
インタビューからの情報をまとめてみました:
Goals
  • 忙しいスケジュールに合わせて、料理や外出に時間を費やさないように、便利に食べ物を手に入れる
  • 家にいても色んな種類の食べ物が食べられるように
Motivations
  • 特典・割引
  • 良いカスタマーサポート・サービス
Frustrations
  • 値段
  • 可用性(配達パートナー)
共通行動・意見
  • 全員 Eats パスに登録している
  • 普段、お気に入りのレストランで注文をする
  • 全員、使い捨てプラスチックの問題について認識があり、5人中4人がそれを懸念しているが、自分たちにできることは何もないと感じている
  • 環境に優しい容器を既に提供しているお店について、すごくポシティブなイメージを持つ
  • UIに関してはあまり不満がない (5点満点のうち平均4.5)
INSIGHTS
Organizing data from our research...
主題分析を行った後、被験者の声からいくつかのインサイトが明らかになりました。
インサイト1
サービスの価値が罪悪感よりも大きいと感じたときに、UberEatsを使い続けるモチベーションが上がる
  • 全員が、コロナ禍でUberを使い始めたものの、支出が多すぎて使用をやめた時期があったと
  • 「一回、一人で4,000円も使って、すごく罪悪感があった。」
  • ここでの「罪悪感」は、一般的な罪悪感で、「金」、「体重が増えた」、「環境」に対しての罪悪感を示す
インサイト2
罪悪感を減らすための最も効果的なアプリの機能の1つは、Rewards (割引・クーポン・返金・タイムセールなど)
  • Uber Eatsで良い経験をした時のことについて、5人に4人が「良いカスタマーサービス」に関して答えたが、誰もが「全額返金」というキーワードを
  • 5人中4人のユーザーが他のアプリからクーポンをもらったため、試した経験がある
インサイト3
「Rewards」の明確なビジュアルデザインは、ユーザーのモチベーションになる
  • すべてのユーザーがEatsパスを使い続ける理由の1つは、毎月どれだけ節約しているかを確認できるからと
  • 「会計のとき、割引が適用されているかを見えると、罪悪感が少しなくなる」
BRAINSTORMING
How might we...
ブレインストーミングを始めるため、ユーザーのニーズ、ゴール、インサイトを元に、HMWを作りました。How Might Weを作成する事によって、解決の方向性を制限し、その分野に集中して様々なアイディアを出して行くことができます。
HMW 1
どうすればユーザーがUber Eatsを使い続けるために、罪悪感を減らし、その罪悪感を上回るバリューを提供できるでしょうか?
HMW 2
どうすれば特典・割引などを使用して、ユーザーが罪悪感を感じるたびに直面するバリアーを継続的に減らせるでしょうか?
HMW 3
どうすればユーザーに、利用できる特典に関する明確で直感的なビジュアルデザインを提供し、モチベーションを与えられるでしょうか?
SOLUTION
Uber Eats Ecoチャレンジ
  • 環境問題に対しての対策の1つと、特典をもらえる Rewards System
  • 罪悪感を減らせる「特典、環境問題への取組み」
  • 特典に関する明確で直感的なビジュアルデザイン
VISUAL DESIGN
Heuristic Evaluation
  • はじめに、Uber Eatsの既存のアプリのデザインのスクリンショットを沢山撮り、勉強しました。
  • ユーザビリティ10原則の評価の他にも、プロトタイピングのためのテンプレートとして参考になります。
VISUAL DESIGN
UI KIT
  • Uber Eatsは公開のUI Kitがないため、Uber Ui Kitにはないデザインパターンを0から作成
  • アイコンセットも公開されていないため、0から作成
VISUAL DESIGN
Visual Identity
  • Uber Eats のブランドアイデンティティを保ち、新しいデザイン要素を既存のアプリに調和させる
  • アイコンのデザインは、「緑=自然」と「金=報酬」の意味を持ち、PETボトルをポイントのアイコンとして設計
  • PETボトルには2つの意味:「1ポイントでPETボトル1本分のゴミを減らす」、「ポイント集め=ゴミ拾い」
INTERACTION DESIGN
Progress Tracking
  • Uber Eatsの既存のデザインパターンを使用し、直感的なプログレストラッカーをユーザーフローの中でユーザーが罪悪感を感じるところに配置
Final Prototype
Takeaways
このプロジェクト・サステナビリティの問題については非常に関心を持ち、リサーチ・デザインを取り組んだ中、デザインの練習になり、使い捨てのプラスチックの問題について色々なことを学んだという点で、素晴らしい経験でした。
研究やインタビューから、「サステナビリティ」という言葉が進化し、人や組織によって異なる意味を持つようになったと実感しました。 最近、「サステナビリティ」は最も使用されている流行語の1つとなっており、いろんな企業や組織は、このアドボカシーに貢献するための戦略を採用するようになりました。収益を上げるためにマーケティング用語として使用されていると考える人がいるかもしれませんが、これは間違っている発想でもなく、特にサステナビリティについての意識を広めるのに効果的であれば、完全にネガティブなことではないと思います。
最終的に、この機能をデザインする上でもっとも重要な要素は「バランス」だと思います。目の前の課題に取り組んでいると同時にビジネスゴール、ユーザーゴール、サステナビリティゴールのバランスを保つことです。
このチャレンジを経て、デザイナーとして人々と環境に貢献することができるような仕事をしており、とてもありがたく感じました。
Next Steps
1. Usability テストの実施
2. Finance/Marketingとの連携
3. 開発
Limitations
1. ペットボトルとしてのポイント単位(さらに調査が必要)
2. 「環境に優しい容器」の定義(梱包材の種類、リサイクル、Carbon Footprintなど)

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